「空っぽ政治家」なくせ
大統領の選挙関連発言
アキノ大統領がこのほど、2016年の大統領選について、口約束だけで中身が伴わない、空洞の米菓子「アンパオ」のような大統領候補者には投票しないようにと呼びかけた。しかし、彼のアドバイスは遅すぎた。前回の大統領選の時に彼は言うべきだった。
アンパオに反対するのは当然だが、今やアンパオが多すぎる。フィリピンは国内総生産の高い伸び率を誇っているが、これは国民の10%しか享受できておらず、失業率も改善していない。この経済指標はまさにアンパオではないか。
汚職に対する大統領の「宣戦布告」も、友人や親類、クラスメートを除外しているのは、空洞の菓子とあまり変わらない。今の政権が誇示する条件付き現金給付(CCT)事業も受益世帯の数は増えているが、貧困世帯はますます貧しくなるばかり。
多数の官民連携事業構想も華々しく打ち上げながら、結果が追いつかない。中身のない大統領は一人で十分だ。こんな大統領が二人続いたらフィリピンは生き残れない。
このアンパオたちは大統領府よりも国会に多い。上院議会のある委員会では、違法賭博フエテンの横行や前次官の関与などについて公聴会を開き審議したものの、途中でうやむやになってしまい、結局、報告書も提出されておらず、上院の本会議にも上程されなかった。ピナツボ火山のラハール(泥流)被災地における大規模なしゅんせつ工事の予算水増し疑惑も同様だった。
上院歳入委員会のエスクデロ委員長が始めた密輸問題に関する公聴会には期待していた。密輸を取り締まれれば増税や新税を導入しなくても政府の財政はまかなえるからだ。しかし、この委員会も委員長が途中で交代してうやむやになってしまった。(19日・タイムズ、エフレン・ダナオ氏)