辞任要求デモ
台風被災地の復興支援が遅れているとして、被災者らが大統領辞任を求めるデモ
台風ヨランダ(30号)の被災地復興が遅れているとして、東ビサヤ地域の被災者団体「ヨランダ被災者同盟」と、左派系労組連合「5月1日運動」(KMU)は14日午前10時ごろ、首都圏マニラ市のメンジョラ橋に集まり、アキノ大統領に「復興の遅れ」の責任を取って辞任するよう求めた。
この日集まったのは2団体のメンバーら約50人。東ビサヤ地域からも被災者16人が参加した。橋をさえぎるように横一列に並んだ参加者らは、「アキノは辞任しろ」などと書かれた横断幕を広げながら政府の被災地支援の遅れを非難した。
ビサヤ地方レイテ州カリガラ町から参加したジェシカ・ダヤンティナオさん(24)の家族はココナツ農家だったが、台風によってココナツ林が破壊された。今は父母と6人のきょうだい、5歳になる息子と共に仮設住宅に移った。仕事がないため、支援団体の食糧支援に頼らざるを得ない生活が続いている。
政府は被災から1カ月後の2013年12月には食糧支援を打ち切ったが、ダヤンティナオさんは「私たちが今一番必要なのは食糧支援の継続だ」と訴え、「大統領の形だけの謝罪は受け入れられない」と憤りを隠さなかった。
KMUのエルマー・ラボグ会長(58)は、デモの前日に大統領が首都圏マニラ市の私立高校での討論会で支援の遅れを指摘した男子高校生に謝罪したことを挙げ、「謝罪しつつも、政府はまだ自らの支援が迅速で効果的だったと宣伝しようとしている。大統領は謝罪するよりも早急に辞任すべきだ」と声を強めた。
ヨランダ被災者同盟は、大統領の辞任のほか、迅速な緊急支援が失敗した責任があるとして、社会福祉開発省(DSWD)のソリマン長官と、ラクソン大統領顧問(被災地復興担当)の解雇を求めた。
政府の復興事業の不手際を批判するデモは被災地や首都圏で継続して行われているが、大統領の辞任を求めたのは異例。
12日にはビサヤ地方レイテ州パロ町で、傷んだ支援食糧が大量に廃棄されていたことが分かり、DSWDや自治体の配給が円滑さを欠いている事実が明るみに出るなど、政府主導支援の在り方などにに関し問題が複数報告されている。(加藤昌平)