昨日の敵は今日の味方
領有権問題
日本の安倍首相の来比は、共通の脅威に直面したかつての敵同士が、いかに戦略的連携を築くかが注目された。西フィリピン海(南シナ海)における中国のいじめで、比は「同盟国」と呼べそうもない国を受け入れることになった。日本軍が太平洋戦争で比を占領した半世紀以上前なら考えられないことだ。元従軍慰安婦をはじめ、犠牲となった人々の怒りはまだ残っている。
日本は、米国の長崎と広島への原爆投下による壊滅的な敗北から立ち上がり、米国の支援によって経済大国を築いた。
大国となった中国が域内覇権を確立しようと新たな帝国主義国家として出現したのは、繰り返される歴史の皮肉だ。これは、「大東亜共栄圏」を築こうとした日本と全く同じ。「共に栄える」を唱えながら自国が持たない天然資源を手に入れることが目的だった。
中国も同様に、14億の人口を養い、工場を操業し続ける必要がある。広大な漁場と天然資源の豊富な南シナ海は域内支配拡大に貢献するが、日本が領有権を主張する尖閣諸島まで手を伸ばしすぎた。
参院選での自民党圧勝は、日本人が中国に対抗するため平和憲法改正を支持したようにもみえる。
巡視艇10隻の供与が発表された比日首脳会談の前には、日本によるスービック港の利用拡大も視野に入れた計画が明らかになった。国防省は海空軍の主要基地を元米軍基地のスービックに移転し、米国が供与した中古艦船が停泊する。
中国に10年滞在したことがある編集仲間はこう話す。「毛沢東はかつて言った。攻撃されない限り攻撃しないが、もし攻撃されたなら必ず反撃する、と。比は必ず反撃する」。(7月31日・スタンダードトゥデー、アレハンドロ・デルロサリオ氏)