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6月23日のまにら新聞から

汚職者の摘発急げ

[ 712字|2003.6.23|社会 (society)|新聞論調 ]

急拡大する麻薬禍

 大統領府麻薬取締局(PDEA)によると、一九七二年にわずか約二万人だった比の麻薬使用者は現在、三百四十万人に達した。うち常用者は百八十万人を占める。四家族に一家族が使用者を抱え、全家族に使用者がいることになる日も遠くないようだ。バーバーズ上院議員はこの傾向が続けば、五年で比は「アジアの麻薬中心地」になると警告している。

 PDEAによると、服役者の六五︱七〇%が麻薬関係の犯罪で収監されている。しかも、この種の犯罪の多くが凶悪さを増している。統計は麻薬対策の緊急性を裏付ける。もし、七割の犯罪が麻薬関係であるならば、政府はまず、密輸・密売の取り締まりに当たるべきだ。

 しかし、言うのは簡単だが、行うのは難しい。バーバーズ議員によると、麻薬は供給元も中国から、比の広大な海岸線を利用して、どこからでも持ち込まれてしまう。さらに、取り締まるべき警官が麻薬組織と結託、密売に携わったり、使用者であったりする。警官の麻薬犯罪への関与は今やニュースではない。麻薬捜査課の捜査員が関与しているケースもある。

 議会は昨年、罰則を強化した取締法を成立させ、過去十カ月に約六千五百人が麻薬犯罪に携わった疑いで逮捕された。さらに、昨年十二月にはバレンスエラ市で密造工場が摘発され、末端価格二十二億ペソ相当の覚せい剤が押収された。しかし、これらをもってしても膨大な麻薬取引を減少させることはほとんど不可能に近い。

 本当に対策を意味あるものとするのは、現在進行中の国家警察をはじめとする政府当局内の関与者に対する取り締まりだ。そして、麻薬組織幹部らを恥知らずにも逃がしてしまう汚職検事や判事を忘れてはならない。(18日・インクワイアラー)

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