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11月4日のまにら新聞から

手間のかかる民主主義

[ 704字|2002.11.4|社会 (society)|新聞論調 ]

非現実的な在外投票

 既に帰国しているはずのアロヨ大統領が米国にとどまり、カリフォルニア州でフィリピン人コミュニティの訪問を続けている。

 国内で緊急の課題が山積している時に、なぜそんなに長居するのか。つまり、在外投票法案が国会を通過し、海外のフィリピン人が重要になったのである。二〇〇四年大統領選での再選を狙うがためである。

 ドリロン上院議長も先週、サウジアラビアの東部各州を訪問した。十万人のフィリピン人に「吉報」を伝えるためだ。アンガラ、レガルダ上院議員らもサウジ政府に招かれて公式訪問した。

 間もなく最終法案が下院に提出される。八百万人の在外フィリピン人たちが八七年憲法に基づく投票権を求めている。しかし問題は、信頼のおけるルールを作り、実施することだ。混乱と無秩序に陥ったままの選挙管理委員会にそれが可能かどうか。

 法案は上院案と下院案で大きく食い違っており、現在、両院協議会で一本化が図られている。例えば、ある上院議員は「郵送での選挙人登録を許すべきだ」と主張している。

だが、出頭による写真や指紋の登録は必要だ。「野越え、山越え、砂漠を越えて行く」べきなのである。

 在外投票の実施は難しいと言わざるを得ない。特にサウジでは地理的な困難が多い。ジッダには領事館があるが、東部州にはない。

 また、国内で不正投票が防げないのに、遠い外国で投票人名簿の作成や投票を不正なく実施するのは想像を絶する難しさだろう。私が九月に訪れたサウジではフィリピン人たちは、公正な選挙のために協力を惜しまないと語った。しかし、「言うは易し」。民主主義は独裁政治よりずっと手間がかかるのである。(1日・スター、マックス・ソリベン氏)

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