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12月2日のまにら新聞から

オーシャン・アドベンチャー

[ 1090字|2001.12.2|社会 (society)|名所探訪 ]

小型クジラと「共泳」

輝く日差しの中、青く広がる海にクジラが飛び跳ねる。今年十月末、マニラ首都圏北方のスービック湾自由港・特別経済区にフィリピン初のマリンパークが正式オープンした.。「オーシャン・アドベンチャー」と命名され、南シナ海に面する岸辺にクジラを囲い込み、ショーのためのステージが設けられている。

 「アメリカ外の最大のアメリカ」といわれた米軍基地撤収から十年目。経済特区として変貌するスービックに登場した敷地面積一万二千平方メートルの海洋娯楽施設だ。パーク内にはアシカ六頭とオキゴンドウ四頭が八千平方メートルの囲いの中で遊泳し、一日三回あるショーに「出演」する。  

 小型クジラのオキゴンドウの体長は約四・五メートル。大きな口からびっしりと並んだ白い歯をのぞかせると少々怖い。しかし、気性が温和なため、客は一緒に海で泳ぐ体験ができる。

 午前十一時。十二歳と七歳のフィリピン人兄妹が「クジラ体験」に挑んだ。まずオリエンテーションを受け、水着の上にライフジャケットをまとった二人はトレーナーの男性らに付き添われ、人工ビーチから約二十メートルの沖合まで浮舟で移動した。

 姿を現したオスとメスの二頭のオキゴンドウ相手に、二人は習ったばかりの手信号を使って鳴かせたり、ジャンプさせた。その後、背中にしがみつき、クジラとの「共泳」を楽しんだ。

 「一人一時間二千六百ペソ」のアドベンチャーをビーチで見守っていた母親はパンガシナン州在住の医師。子供らは「つるつるして滑ったけどとても気持ちよかった。また来たい」と大喜びだった。

 フィリピン人トレーナーは全員、ここで米国人トレーナーから指導を受け、初めてアシカやクジラに触れたという。

 ネグロス島バコロド市出身のビアンカ・エスピノスさん(27)は大学で海洋生物学を学んだが、以前は不動産関係の仕事をしていた。「クジラやアシカから学ぶことばかりで、毎日が驚きの連続です。お客に満足してもらえるよう調教に力を注ぎたい」と語ってくれた。

「ただの娯楽施設ではなく、海洋の環境保護の大切さを考えてもらう場としたい」と話すのは運営人事課課長のマリア・ルビ・ビエリさん(36)。ショーでは、アシカがステージ上に用意された漁網に引っ掛かって死んだふりをしたり、使用済みのペットボトルを「リサイクル用ごみ箱」に入れたりするパフォーマンスがあり、環境保護の啓もうに一役買っている。

 親子連れを中心に一日平均三百人が訪れ、週末には五百人を超えるという。

入場料は大人四〇〇ペソ、子供三二〇ペソ。クジラ体験は一日三回で、一回につき八人まで。(栗田珠希)

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