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10月29日のまにら新聞から

炭疽菌より恐いもの

[ 678字|2001.10.29|社会 (society)|新聞論調 ]

首都圏のごみ処理問題

 炭疽(たんそ)菌のことは忘れよう。生物兵器によるテロも忘れよう。なぜなら、私たちはこのようなもので命を落としはしないのだから。

 首都圏の住民は、生物兵器よりももっと深刻な脅威に日々直面している。街角の至る所に山積みされているごみだ。回収されずに異臭を放つごみ山ほど危ないものはない。コレラ、腸チフス、アメーバ性感染症、肝炎……。ゴミ山により「培養」された病原菌やウイルスは、洪水が発生するたびに首都圏各地へ拡散し人の健康を脅かしているのだ。

 ごみ行政を担当している首都圏開発局によると、埋め立て処分場が閉鎖されたためにごみを回収できないという。同局は①ルソン島バタアン州へ運搬し処分する②リサール州にある処分場を使う③洪水を防ぐため川底にたい積したごみを取り除く︱︱などの対策を打ち出している。

 しかし、バタアン州など地方自治体関係者は首都圏からのごみ持ち込み、地方の「スモーキーマウンテン化」に強硬に反発している。同州選出の下院議員は「ごみを運びたいならおれの死体を乗り越えて行け」とさえ言っている。

 首都圏で排出されるごみは一日六千トン。八方ふさがりの状況下、同局は「ごみ非常事態」を宣言したが、こんな宣言を出したところでごみ山が無くなるわけではない。掛け声よりも行動が求められている。

 提案の一つは、分別収集の徹底だ。ごみの九割は生ごみなど腐敗可能なもので構成されている。プラスチックなど残り一割をリサイクルに回せば、ごみの総量は劇的に減る。分別は簡単なことではないが、自治体やバランガイ、住民が官民一体で取り組めば決して不可能ではない。

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