ビリヤード学校
「スポーツとして認知を」
子供から老人まで幅広い人気があり、世界のトッププレーヤーが輩出するフィリピンのお家芸、ビリヤード。マカティ市メトロポリタン通り沿いにビリヤード学校「キューズ・アンド・クッションズ・ラーニングセンター」が登場した。
学校は今月十日に設立されたばかり。経営学の専門学校の地下一階に併設されている。学校入り口には「フィリピン初のビリヤード学校」と書かれた長さ四メートルほどの横断幕が掲げられてる。
地下一階にある駐車場に囲まれた縦約四メートル、横約八メートルのビリヤード場が同校の「教室」。中に入ると、ビリヤード台が二つ置いてあるだけ。黒板や机などは見当たらず、学校という雰囲気には程遠い。現在、来年一月に予定される正式開校に向け、「教室」を改装中である。
同校は、上・中・初級の三つのコースを開設する。実技指導は当然のことながら、ビリヤードの歴史、競技にあたってのエチケットなど心得についても講義する。教科書作りも検討している。
各コースとも授業は一コマ約二時間、計十二コマの一コースは三カ月で終了する。受講料は二千ペソ。定員は初・中級二十名、上級十名の予定だ。週二回、水曜日と木曜日に開講する。
講師を務めるのはアマチュアの「プレイヤー・オブ・ザ・フィリピン」に三度選ばれたプヤット・ホセセサールさん(28)。ビリヤード選手やボーリング選手らのプロモーション業を行っている「プヤット・スポーツ」の現社長の一族で、八歳からビリヤードを始めた。
三人の経営者の一人でもあるホセセサールさんは「フィリピンではビリヤードはギャンブルと一緒にされ、職がなくてぶらぶらしている若者の遊びというイメージがある」と話し、「学校設立を通し、ビリヤードをきちんとしたスポーツとして社会に認知させたい」と抱負を語った。
二十歳代の経営陣は、将来的に学校を全国展開することを目標とし、成功すればフランチャイズ制も導入したいとしている。
大統領府フィリピンスポーツ委員会の反応は「新しいアイデアで評価したい。ただ、どれだけ受講者を集まるだろうか……」といささか冷ややか。
「大家」の専門学校は、家賃の値引きだけでなく、体育の授業にビリヤードを組み込むなど新たな試みを支援している。現在、「教室」では専門学校生約百人が受講。二・四年生は必修、一・三年生は選択制だ。さらに、コンピューター専門学校の生徒約三十人も参加している。
専門学校の生徒は「余裕があれば正式受講したい」と話す。関係者は、ここから世界的なプレーヤーを巣立っていくことを夢見ている。(湯浅理)