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6月4日のまにら新聞から

尊敬に価する解決を

[ 689字|2001.6.4|社会 (society)|新聞論調 ]

アブサヤフ誘拐事件

 外国人を巻き込んだ誘拐事件を再び起こしたイスラム過激派、アブサヤフに対するアロヨ大統領の毅然(きぜん)たる姿勢を評価する。アブサヤフは今回の誘拐事件では何も得るものはない。彼らにできることは国軍の攻撃に備えることだけだ。

 昨年の同様な事件では、前政権の不適切な対応や無責任なメディアのせいで国軍は長期待機を強いられた。しかし今、兵士たちは掃討命令を手にしている。

 今回の事件では、国軍は国民からより明確なコンセンサスを得ることができるだろう。アブサヤフに同情する者はもはやいない。あるのは、大統領の「力には力で、武器には武器で対抗する」という言葉と懸賞金だけだ。

 昨年、エストラダ前大統領は「アブサヤフを灰にしてやる」と豪語した。だが結局、人質解放で多額の身代金が支払われた。味を占めたゲリラたちは再び外国人誘拐を試みた。だが、アロヨ政権は前政権の失敗を教訓として二度と同じ過ちを繰り返えしてはならない。

 「犯罪者と(身代金の)交渉はしない」という、今や世界共通となったテロや誘拐事件に対する一貫した姿勢を、政府が取ることができるかにすべてがかかっている。

 また、アブサヤフがメディアと接触し、利用した点でも前回の事件を教訓としなければならない。記者がその使命として政府の統制に抵抗するのは当然だ。だが、「報道の自由」は、凶悪犯罪撲滅を妨害する権利を与えてはいない。

 今回の誘拐事件はアロヨ政権が前政権からはっきりと決別し、政府と国家の誠実さ、信用を取り戻す好機である。事件を首尾良く解決できればアロヨ大統領は「タフな指導者」としての尊敬を手にすることができよう。

社会 (society)