台風ヨランダ(30号)
4州で共同仮設住宅159棟が近く完成へ。入居できるのは避難住民全体の1%弱
台風ヨランダ(30号)被災者向けの共同仮設住宅159棟が、クリスマス前に完成する見通しになった。建設地はレイテ、東サマール、サマール、イロイロの4州で、計3816世帯分。これに対し、4州の避難住民は計約47万世帯で、入居できる世帯は全体の1%にも満たない計算だ。シンソン公共事業道路長官が7日、マニラ新聞の電話取材に対し、明らかにした。
州別の棟数は、レイテ州が、タクロバン市48、パロ町28、オルモック市20の計96棟(2304世帯分)。残り3州は、東サマール37棟(888世帯分)、サマール12棟(288世帯分)、イロイロ14棟(336世帯分)。
これに対し、自宅を失うなどして避難生活を続ける被災者数(7日現在、国家災害対策本部発表)は、レイテ州21万7千世帯、東サマール州5万6千世帯、サマール州1万3千世帯、イロイロ州18万3千世帯。
4州の避難住民は計46万9千世帯で、間もなく完成する3816世帯分の仮設住宅でクリスマスを迎えられるのは、単純計算で全体の0・8%程度にとどまる見通し。
課題になりそうなのは、入居可否をめぐる公平性の確保で、大統領府は「社会福祉開発省が自治体と協力し、妊婦や子供、高齢者、障害者を抱える世帯を優先して入居させる」と説明している。
共同仮設住宅は、1棟当たり24世帯が入居できる。ベニヤ合板、トタン屋根、セメントの床でできており、共同の炊事場、トイレ・水浴び場がある。
現在の計画では、さらに60棟を建設し、計219棟で5256世帯が生活できるようにする。
しかし、避難住民の多さを考えると焼け石に水で、今後は、住民の生計手段確保と自宅の自力再建が課題となる。このため政府は、仮設住宅建設と並行して、がれきの撤去作業に被災者を雇うなど、生活再建策を続けている。
また、日本の非政府組織(NGO)などは、被災住民に建材を無料支給して、自宅再建を支援している。(酒井善彦)