成長率6.3%に回復 公共事業加速がけん引
比の第2四半期GDP成長率は6.3%。東・東南アジアではベトナムに次ぐ高水準
統計庁は8日、第2四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)成長率が第1四半期比0・5ポイント増の6・3%となったと発表した。上半期平均の経済成長率はこれで6・0%となり、今年の政府目標(6~7%)の範囲に届いた。既にGDP成長率を発表している東・東南アジアの新興国の中ではベトナムの6・9%に次ぎ2番目で、マレーシア(5・8%)、インドネシア(5・0%)、中国(4・7%)を上回る高成長となった。
経済成長に主に寄与した産業は建設業、卸・小売・自動車整備業、金融業の3分野で、それぞれ16・0%、5・8%、8・2%の成長率を記録。インフレ抑制のため2007年以降最高の6・5%に政策金利が据え置かれる中で、金融業が高い成長率を見せた。金融引き締めによる物価安定化と経済成長を両立させる比実体経済の頑健性が示された格好だ。
需要面では、GDPの約7割を占める家計最終消費は前四半期比0・06%増の4・6%と4%台で停滞。一方、行政サービス費用である政府最終消費は中間選挙の準備を反映して9ポイント増の10・7%、政府インフラ投資や民間設備投資を含む総資本形成は11ポイント増の11・5%と、それぞれ二桁成長をみせた。
総資本形成の中でも、行政機関によるものが21・8%と最大。次いで民間企業が13・6%、住宅等が4・9%。政府が推し進めるインフラ建設事業の迅速化が成長率に反映された。
産業三大分類別にみると、エルニーニョ現象の影響を受け、第一次産業(農林水産業)が前四半期比2・8ポイント減のマイナス2・3%に減速。一方、第二次産業(製造業・建設業など)が同2・6ポイント増の7・7%、第三次産業(サービス業)が同0・15ポイント減の6・8%の成長。第二次産業が第三次産業の成長率を上回ったのは、22年第1四半期以来。
海外部門をみると、輸出は4ポイント減の4・2%だったのに対し、輸入は3ポイント増の5・2%だった。インバウンド観光やBPOなどサービス輸出は1・1ポイント減速したものの8・0%と高成長率を維持。サービス輸出額は9239億ペソで、7034億ペソだった製品輸出額(成長率0・5%)を上回った。純輸出は1兆392億ペソの赤字だった。
また、海外からの純所得を加えた国民総所得(GNI)は1・9ポイント減の7・9%。国外に投入された比人労働や比資本が生み出した所得である第一次所得の純増率は24・7%で、約60~100%で推移していた22年第1四半期から減速した。第一次所得の純流入額は7603億ペソだった。(竹下友章)