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2月1日のまにら新聞から

「アジア最高水準を維持」 23年GDP成長率5.6%

[ 1225字|2024.2.1|経済 (economy) ]

2023年の比経済成長率は5.6%。政府目標未達成も世銀、IMF、S&P、ムーディーズの予測上回る

 フィリピン統計局は1月31日、2023年通年のフィリピンの実質国内総生産(GDP)成長率が5.6%だったと発表した。政府目標の6~7%を下回ったものの、各国際機関の予想値と同水準か、またはそれを上回る数値を記録した。総額は24兆2894億ペソだった。なお、2023年第4四半期成長率は5.6%だった。

 国家経済開発庁(NEDA)のバリサカン長官は「既に23年GDP成長率を発表しているアジア諸国をみると、ベトナムは5.7%、中国は5.2%、マレーシアは3.4%。比はアジアトップクラスの成長率を維持できている」と発表。「さらに重要なことは、コロナ前と比較して、8.6%成長したといいうことだ」とし、コロナ禍で東南アジア諸国連合(ASEAN)で最大のマイナス成長を記録した比が、既に成長軌道に回復していることを強調した。

 各国際機関の予想は、国際通貨基金(IMF)が5.3%、世界銀行が5.6%、アジア開発銀行(ADB)が5.7%、ASEANプラス3マクロ経済調査事務局(AMRO)が5.6%。格付け大手のS&P、ムーディーズの予想は共に5.4%だった。

 ▽持ち直した投資

 需要面からみると、23年は、GDPの73.0%を占める家計最終消費が5.6%、企業設備投資や政府公共投資が反映される総固定資本形成(GDP構成比23.0%)は5.4%と堅調。特に政府事業の執行の遅れなどから第2四半期に0.03%、第3四半期にマイナス1.4%と落ち込んでいた総固定資本形成は、第4四半期に11.2%の成長に持ち直した。その中でも工業用機械や自動車など耐久性機材の取得が投資持ち直しに寄与した。

 一方、公務員給与など行政サービスに関する政府最終支出(GDP構成比14.2%)は、第2、第4四半期でマイナス成長となり、通年では0.4%とほぼ成長がなかった。

 生産面の通年成長率を3大産業別にみると、第一次産業(農林水産業)が1.2%、第二次産業(製造業・建設業など)が3.6%、第三次産業(サービス業)が7.2%で、引き続きサービス業が国民経済をけん引した。

 バリサカン氏は、サービス産業の中でも飲食・宿泊業(年間成長率19.3%)、運輸業(同17.1%)、レクリエーション業(同16.6%)の成長が「目覚ましい」と報告。「質の高い雇用の拡大と海外送金の増加が反映されている」と説明した。

 海外からの雇用者報酬や投資収益の純所得が加算され、より比経済の実感に近いと考えられる国民総所得(GNI)は、前年比0.6ポイント増の10.5%と二桁成長。現行の価格で26兆9635ペソだった。海外からの第一次所得の純受け取りは、96.6%と急拡大。2023年の海外からの純所得(短期海外雇用報酬や投資収益の純受け取り)は2兆6740億ペソ。同年の海外雇用報酬の受け取り総額(海外への長期居住者除く)は2兆8799ペソだった。 (竹下友章)

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