上院で予算案可決 安保関連で大幅増額
議会上院は最終読会で5兆7680億ペソの24年予算案を賛成21人、反対0、棄権1人で可決
議会上院は28日、最終読会で5兆7680億ペソの2024年予算案を可決した。採決では上院議員21人が賛成、反対0人、1人が棄権した。各地元メディアが報じた。
同予算案は23年予算より9・5%増加で過去最大規模となり、比国内総生産(GDP)の21・7%に相当する。
上院財政委員会を率いるアンガラ上院議員によると、上院版の予算案について中国との関係悪化を念頭に、国防省や国軍、沿岸警備隊への予算を大幅に増加し、国家安全保障を強化すると説明。「機器の購入やインフラ構築、能力開発や訓練に充てる」と言及した一方、詳細は明らかにしなかった。
科学技術省の予算で10億ペソ、教育省では教育機関でのメンタルヘルスプログラムの拡充など5億ペソをそれぞれ増額。またイノベーション関連の事業やプログラムへの助成金支援を目的とした基金を設立するという国家経済開発庁(NEDA)の要請を承認したと続けた。
今後両院協議会で審議を行い、承認後に大統領府へ送達される見込み。ジョクノ財務相によると、マルコス大統領は訪日が予定される12月中旬までに最終的な予算案を承認する予定という。
野党側のピメンテル上院議員は大統領による法律緊急制定権に反対して上院で唯一棄権。「予算を承認できる大統領の制定権を予算編成に使用することには反対し続ける」と表明した。
アンガラ議員は国家機関の機密費や諜報費の増額についての言及はなかった。野党系議員から機密費の使途を疑問視する声が上がっており、サラ副大統領=教育相兼務=が管轄する副大統領府と教育省の機密費をそれぞれ5億ペソと1億5000万ペソの計上を見送っていた。(沼田康平)