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11月24日のまにら新聞から

「VAT問題の解決に期待」 CREATE改正法承認

[ 1225字|2023.11.24|経済 (economy) ]

下院の歳入委員会がCREATE法の改正法案を承認。VAT問題改善に向け大きな期待

CREATE MOREの承認を報告したPEZAのパンガ長官(左)、PEZAによる投資家表彰式でスピーチしたフィリピン日本商工会議所の藤井副会頭(右)=22日夜、首都圏パサイ市で竹下友章撮影

 下院の歳入委員会は21日、企業復興税制優遇法(CREATE)の改正法案(CREATE MORE)を承認した。同法案には、還付申請のリスクに基づく分類法の確立や審査フレームワークの明確化など付加価値税(VAT)の還付手続きを迅速化・明確化し、還付に極めて消極的だった内国歳入庁(BIR)の裁量権を制限する制度が盛り込まれた。起草者は経済政策通として知られるジョーイ・サルセダ下院歳入委員長。既にジョクノ財務相による支持も取り付けており、輸出企業を苦しめてきたVAT還付問題に大きな改善が期待される。

 また同法案は、現行法で25%の法人所得税率を、拡充控除制度の適用を受ける企業については20%まで下げる。拡充控除制度には、建物の減価償却費に10%、生産機械の減価償却費には20%、人件費に50%、電力コストに50%、研究開発費に100%の追加控除が盛り込まれた。

 22日夜に首都圏パサイ市のワールドトレードセンターの会場で開かれた比経済区庁(PEZA)による投資家表彰式では、PEZAのパンガ長官が「きょう来場しているサルセダ議員によって、下院財源委員会でCREATE MOREが承認された」と報告。その際には会場から大きな拍手が沸き起こった。日本フィリピン商工会議所代表としてあいさつした藤井伸夫副会頭は「CREATE法のせいで、いくらかの日本投資家のマインドは消極的になってしまっているが、サルセダ氏によるCREATE MOREこそが解決策。私たちは共に投資に有利な環境を整備できる」と期待を表した。

 同法案承認に際してサルセダ氏は「CREATE法の間違った解釈に起因する徴税によって、投資家離れが発生した」と指摘。改正法は「VATに関する『議会の本来の意思』を明確化する」と説明した。また、経済協力開発機構(OECD)包摂的枠組みで合意された多国籍企業の基準法人税を15%にする「グローバルミニマム課税」に触れ、「世界各国がこの枠組みへの対応を進める中、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国の中で、フィリピンだけが大きな進歩がない」と指摘。各国がグローバルミニマム課税を導入した際の備えとしての意義も強調した。

 VAT問題を巡っては、CREATE法の施行(2021年)に伴い、それまでゼロレートが適用されていた経済特区立地企業の中の物流企業などにVATが課税される問題が発生したほか、経済特区外の輸出企業についても還付されるはずのインプット(仕入れ)VATの還付を内国歳入庁(BIR)から理由なく拒否されたり、VAT還付申請をした企業には報復的な税務調査が入るなど、輸出企業が追加的な負担を強いられる状況が以前から続いていた。

 この問題については、フィリピン日本商工会議所、在比日本国大使館が比政府に要望書を提出しているほか、東京の日本商工会議所や岸田文雄首相の訪問団が比を訪れた際にも懸念を表明していた。(竹下友章)

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