第3四半期成長率は5.9%に回復 政府通年目標達成は遠く 比統計庁速報
今年7~9月期の国内総生産伸び率が5.9%と前期の4.3%から回復した
フィリピン統計庁は9日、今年第3四半期の実質国内総生産(GDP)の伸び率(前年同期比)が5・9%だったとの速報値を発表した。コロナ禍から経済回復が始まった2021年第2四半期(成長率12・0%)以降で最低の四半期成長率だった前期の4・3%から大きく上昇した。
これで今年第1~3四半期までの平均成長率は5・5%と上半期よりわずかに上昇した。一方で、政府の23年成長率目標(6~7%)の下限値の達成は、第4四半期で7%を超える高い水準の成長率が必要となるため、かなり厳しい見通しとなった。
同庁によると、今年7~9月期の成長率を押し上げた要因としては、業種別では「卸売・小売業ならびに自動車・オートバイ修理業」が5・0%、「金融・保健業」9・5%、「建設業」で14・0%とそれぞれ順調に伸びたことが挙げられる。また、主要な経済セクター別では「農業・林業・漁業」と「鉱業・工業・建設業」、および「サービス業」がそれぞれ0・9%、5・5%、6・8%と堅調だった。
国家経済開発庁のバリサカン長官は第3四半期成長率の結果を歓迎。「複数の大きな逆風に見舞われながらも、比経済が成長を続け、アジア主要新興国のなかでは比が最速だった」と説明した。第3四半期のGDP成長率はベトナムが5・3%、インドネシアと中国で4・9%、マレーシアで3・3%だった。
同長官によると、支出面では内需(家計最終消費支出、政府最終消費支出、総資本形成・投資の合計)の成長率が前期の2・2%から同3・9%に改善。外需(純輸出)も前期の8・5%から12・9%に増加した。
一方で家計消費の伸び率は前期比0・5ポイント減の5・0%と鈍化し、食品インフレ率も0・6ポイント増の8・2%を記録しており、物価高騰が消費の枷(かせ)となっていることが明らか。
同長官は、政府が高止まりし続けるインフレ問題に対応する一方で、「国民の購買力を保護するための非金融的措置が極めて重要だ」と強調した。(ロビーナ・アシド、沼田康平)