南北通勤線事業に3770億円供与 現政権初の合同インフラ委会合
現政権初の比日インフラ合同委開催。南北通勤鉄道整備事業に約3770億円の円借款提案
首都圏マニラ市で4日、現政権で初となる第13回比日経済協力インフラ合同委員会会合が開催された。第10回~12回はコロナ禍のためオンラインで開かれており、対面としては神奈川県小田原市で2019年12月に開催された第9回会合以来の約3年ぶり。日本外務省によると、日本側は南北通勤鉄道整備事業のため約3770億円規模の円借款を供与する考えを提示。これに対し比側は日本の「迅速かつ着実」な支援の実施に対する深い謝意を表明した。
日本側議長は森昌文首相補佐官、比側議長はジョクノ財務相が務め、各省庁の代表者が出席した。両国代表はマルコス政権下でも合同委員会が継続開催され協力が着実に進展していることを歓迎。日本側から、合同委員会を通じて、比の中進国入りと、現政権の大規模インフラ投資政策「ビルド・ベター・モア」(BBM)を政府開発援助(ODA)および官民連携(PPP)で力強く支えていく意向を伝えた。
両者は鉄道を含む3大都市圏におけるインフラ整備、海上保安能力向上、ミンダナオ和平プロセスなどの協力案件が着実に進展していることを確認。スービックやクラークを含む地方開発、情報通信、エネルギー移行、防災等の分野でも協力を推進していくことで一致した。
また両者は、今後も合同委員会を通じて緊密な意思疎通を図り、具体的な協力案件を通じ両国の戦略的パートナーシップを経済面でも一層深化していくことで一致した。
2017年に故安倍晋三元首相がフィリピンを公式訪問した際、5年間で官民合わせ1兆円の支援を約束。そのフォローアップとして合同委員会会合が継続して開催され、支援額は5カ年で目標を上回る1・38兆円となった。マルコス大統領は近く日本を公式訪問するとされており、訪問の成果としてさらなる投融資が約束される可能性もある。(竹下友章)