直近3年10カ月で最高 7月インフレ率6.4%
統計庁によると7月のインフレ率は直近3年10カ月で最高の6.4%。1~7月平均は4.7%
比統計庁は5日、7月の消費者物価指数(CPI)の上昇率(インフレ率)が6・4%だったと発表した。6・7%を記録した2018年10月の翌月以降の直近3年10カ月で最高の水準となった。1~7月の平均インフレ率は4・7%。中央銀行の目標レンジ(2~4%)は超過したが、政府予想の範囲(4・5~5・5%)内に留まった。
首都圏のインフレ率は6月より0・5ポイント減の5・1%だったのに対し、首都圏以外の平均インフレ率は0・5ポイント増の6・8%。中でも、ダバオ(8・6%)、中部ルソン(7・9%)、東部ビサヤ(7・5%)など各地域で高い水準を記録した。
物価上昇をもたらした主要品目は、食品・非アルコール飲料(6・9%)、アルコール飲料・たばこ(8・5%)、交通(18・1%)などだった。
▽二次的効果
比中央銀行のメダリヤ総裁は声明で「物価上昇の二次的効果が働いている」と指摘。原油などの物価上昇がインフレ期待を高め、「高進したインフレ期待が賃金上昇を促し、賃金上昇が価格に転嫁され始めた」と説明した。この悪循環が本格化すれば、急速なインフレ率上昇につながる危険が指摘されている。
同総裁は「中期的にインフレ率を目標レンジに導くためあらゆる必要な措置を講じる準備はできている」と改めて強調。金融政策を決める中銀の金融政策決定会合は18日に開催が予定されている。
5日の英字紙スター電子版によると、オランダ系ING銀行マニラ支店のマパ上級エコノミストは「二次的効果はまだ始まったばかり」と指摘。「パン製造業者や小売業も値上げを発表しており、最低賃金や運賃の値上げはこれから各部門に波及していく」とした。(竹下友章)