GDP成長率 予測軒並み上回る 21年第4四半期7.7%、通年5.6%
比統計庁は2021年第4四半期のGDP成長率が7.7%、通年では5.6%となったと発表
比統計庁は27日、2021年第4四半期の国内総生産(GDP)成長率が7.7%、通年では5.6%になったと発表した。昨年12月にビサヤ、ミンダナオ地方に甚大な被害をもたらした台風22号(比名オデット)の直撃にもかかわらず、21年第4四半期成長率は比中央銀行の予測値7.4%を上回った。通年成長率も、国際通貨基金(IMF)の昨年10月予測3.2%、世界銀行の10月予測4.3%、アジア開発銀行(ADB)の12月予測5.1%など、各国際機関の昨年の予測を軒並み超えた。
21年の成長に寄与した主要産業は①製造業(成長率8.6%)②卸・小売および自動車整備業(4.3%)③建設業(9.8%)——の3産業。
産業の3大分類別に年間成長率をみると、農林水産業など第1次産業がマイナス0.3%、製造業や建設業など第2次産業が8.2%、卸・小売業、金融業など第3次産業は5.3%だった。
支出面から年間成長率をみると、家計最終消費支出が4.2%、公務員給与など政府消費支出が7.0%、住宅投資やインフラ建設など国内総資本形成が19.0%。輸入は12.9%拡大したのに対し、輸出の伸び率は7.8%。貿易赤字が拡大した。
過去最大の予算執行による大規模公共事業や、低利政策を背景とする住宅投資の増加でマクロ経済を上向かせた一方、内需増に国内生産力が追いつかず、拡大した貿易赤字がGDPの押し下げ要因となっている。
GDPに海外からの純所得を加算した国民総所得(GNI)は21年第4四半期8.0%、通年だと1.6%の伸びに留まった。
GNIには海外への投資収益や短期海外就労報酬などが含まれるが、海外送金や援助など対価を伴わない所得移転は含まれない。そのためフィリピンのような海外送金が大きい経済では国民の豊かさを計る指標として不十分との指摘もある。(竹下友章)