デジタル銀設立受け付け凍結 9月から3年間 金融市場への影響を評価へ 比中央銀行
比中央銀行はデジタル銀行設立認可の申請受け付けを9月1日から中止すると発表した。最低3年間にわたり認可を凍結し、デジタル銀行による金融市場への影響を評価する
フィリピン中央銀行のジョクノ総裁はこのほど、オンライン記者会見で、中銀金融政策委員会がデジタル銀行の設立認可取得に向けた申請受け付けを9月1日から中止することを決定したと明らかにした。
デジタル銀行取引が国内の金融市場に与える影響や、サービスの品質または競争原理が働いているかなどを評価するために最低3年間にわたり認可申請を受け付けないという。昨年12月にデジタル銀行の設立認可を打ち出した中銀通達が出てからわずか8カ月ほどで政策を変更することになり、業界関係者らの間で驚きが広がっている。
20日付英字紙スターによると、ジョクノ総裁は「これまでにデジタル銀行の設立認可を発行した5つの法人に加えて、現在申請中の2法人を加えた7法人のみに営業を3年間にわたり制限すれば、デジタル銀行業務に関する経験を蓄積でき、厳密にモニターできる」と述べている。
これまでに中銀からデジタル銀行の設立認可を受けたのは、政府系金融機関ランドバンク傘下の海外比人銀行(ОFバンク)とトニックデジタル銀行、UNО銀行とアボイティス財閥傘下のユニオンデジタルバンク、ゴコンウェイ財閥傘下のゴータイムの5法人。加えて、スマート傘下のデジタル決済アプリ、ペイマヤの運営会社であるボエイジャー・イノベーションズも中銀にデジタル銀行認可を申請中だと表明している。
中央銀行によると、他の法人も8月31日まではデジタル銀行の認可取得に向けて申請を行うことは可能という。実店舗を持たないインターネットバンキングのみで取引するデジタル銀行の設立には10億ペソの最低資本金などの条件が課せられている。
中央銀行はデジタル決済移行ロードマップを作成しており、2023年までに国内の小売決済総額の50%をデジタル決済化することを目指しているほか、国内で銀行口座など金融アカウントを所有する国民の割合を70%まで引き上げることを目標に定めており、デジタル銀行の設立促進もロードマップ達成に寄与するとみられていた。(澤田公伸)