日本が7割超の141億ドル 20年間の比へのODA融資
2001年から20年まで日本が比への最大のODA提供国。借款総額は141億ドル余
フィリピン財務省は10日、2001年から20年まで日本が比への最大の政府開発援助(ODA)の提供国であり続けており、契約・確約された借款の総額は141億ドル余に上っているとの報告書を発表した。特にドゥテルテ政権下での比日の協力強化により、ODA額が膨らんでいるという。
同省国際金融グループがドミンゲス財務相に提出した報告書によると、アロヨ、ノイノイ・アキノ、ドゥテルテの3政権にまたがる昨年までの20年間の比への二国間融資の総額は196億5600万ドル。うち72%に当たる141億3900万ドルを日本が占めている。
日本以外では、欧州連合(EU)30億4900万ドル(16%)、中国11億8500万ドル(6%)、韓国11億100万ドル(5・6%)の順で、残りが米国1億6千万ドル、中東諸国2千万ドル。
二国間ODA融資を政権別でみると、アロヨ政権時代の2000年からの9年半が60億6700万ドルで、うち日本の融資提供は52・7%の32億ドル。ノイノイ・アキノ政権の6年では56億4100万ドルで、うち日本分は85%の48億1700万ドルだった。
ドゥテルテ政権下では二国間ODA融資総額は79億4700万ドルに拡大、日本はうち61億2200万ドルと77%を占めている。
比側にとっては「ビルド(建設)、ビルド、ビルド(BBB)」のスローガンに基づく政府の大規模なインフラ投資の資金調達が主な目的だったが、昨年からは、新型コロナ対応にも巨額なODA資金が充てられている。
国際金融グループを率いるホーベン次官は、報告書で「ドゥテルテ政権下での二国間の大規模な借款は、経済成長を促進するためのインフラ整備に国内総生産(GDP)の約5%を費やすことを可能にし、コロナ禍の間も開発の成果を維持するのに役立った」とした上で、日本からの融資の急増について「比日両国間の協力強化が背景にある」と述べている。(谷啓之)