比はVAT徴税効率が域内最低 OECDアジア太平洋歳入統計
OECDアジア太平洋歳入統計報告で比のVAT徴税効率が域内最低と判明
経済協力開発機構(OECD)による2021年度アジア太平洋地域歳入統計報告書がこのほど発表された。それによると、フィリピンの19年における付加価値税(VAT)の徴収効率(VRR)が1を最高として0・2にとどまり、統計対象国・地域の中でも最も低いことが分かった。23日付英字紙インクワイアラーが報じた。
ハビタン財務次官補は同紙へのインタビューに対し、「我が国の低いVRRは、高齢者や障がい者の物品やサービス購入に付与しているものを含む付加価値税(VAT)システムが抱える多くの免除措置によって説明される」と述べ、比国内の税制におけるVAT免税措置の適用対象の広さが背景にあると説明している。
2018年1月に発効した税制改革法第1弾「加速と内包的成長のための税制改革」(TRAIN)では、VAT免税措置の適用範囲を大幅に縮小する条項が当初盛り込まれていたが、高齢者や障がい者に対する免除撤廃を定めた項目がロビー活動により議会審議で除外となるなどして十分な適用拡大にはつながらなかったという。
一方、OECDは、関税局におけるVAT税収分が通常の関税収入と混同されることが多く、一部の輸入品の通関時におけるVAT税未収分も比のVRRの低率に反映していると分析している。
下院歳入委員会のサルセダ委員長は「潜在的VAT税収の31%の徴収ができずにいる」とした上で、「租税法で56項目、特別法で84項目に追加でVAT免税措置を付与している。これらの恣意的運用でVAT税収の徴税効率の低下をもたらしている」とも指摘。同委員長によると、比のVAT税収が国内総生産に占める割合は4・3%で、タイの割合は4・1%だが、タイの付加価値税率が7%、比が12%であることを考えると、比のVAT税収効率がタイよりもかなり低いことが分かる。
同委員長はこの国内のVAT免税付与項目をさらに縮小させると同時に、VAT納付手続きなどの簡略化を盛り込んだ税納付簡略化法の制定が必要だと訴えている。(澤田公伸)