月内にも米破産法申請へ PAL 民事再生手続き
フィリピン航空が6月中にも米連邦破産法第11条の適用を米連邦破産裁判所に申請
フラッグキャリアーのフィリピン航空(PAL)が6月中にも米連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用をニューヨークの米連邦破産裁判所に申請するとみられている。23日付英字紙インクワイアラーが報じた。航空業界関係者によると、申請は今月29日と予想されているが、7月にずれ込む可能性もあるという。
PALが同裁判所に米連邦破産法第11条適用を申請すると、裁判所命令で債権の取り立てが停止され、経営陣は債権者と負債の整理や契約見直しを協議しながら、原則120日以内に再建計画を策定する。航空機などの使用を継続でき、債務訴訟も避けることが可能になる。
PALには全日本空輸(ANA)も出資しており、多国籍企業や比以外の外資企業も含めた債権者の合意を得て、再建を目指すことになる。今後、新型コロナワクチン接種が広がり、旅行制限が緩和されることも視野に、数カ月以内に同法11条適用を終えることを目指しているという。
比各紙のこれまでの報道によると、再建案では、所有航空機97機の2割ほどの削減、路線網の見直し、不採算の長距離路線の休止などが予定されているとみられる。
コロナ禍に伴う防疫措置強化で国内外への運航が厳しく制限されたため、PALの損失額は2020年に718億ペソと19年の102億ペソから7倍以上に拡大。債務総額は20年末時点で約3千億ペソ(短期1200億ペソ、長期325億ペソ、リース1520億ペソ)に膨れ上がっている。21年第1四半期も86億ペソの損失を出し、債務超過は今年3月末で約840億ペソに達している。
PALの持株会社PALホールディングスが規制当局に提出した最新の書類によると、社主のルシオ・タン氏が今後、242億5千万ペソを追加調達する。タン氏は19年末からこれまでに172億ペソをPALに注入しているという。(谷啓之)