300人日本へ出発できず 比人看護師・介護福祉士候補ら
比人看護師・介護福祉士候補者約300人全員が日本に向け出国できず
日比経済連携協定(JPEPA)に基づき、昨年日本へ出発する予定だったフィリピン人看護師・介護福祉士候補約300人全員が新型コロナウイルス流行の影響で、現在も比国内にとどまっていることが分かった。
約300人はJPEPAに基づき、看護師・介護福祉士候補として日本に派遣される第12陣。2019年11月に技術教育技能開発庁(TESDA、首都圏タギッグ市)での開講式の後、比国内で6カ月間の日本語予備教育を終えていた。
在フィリピン日本大使館によると、比側は候補者の出国準備を整えてきたが、日本側の新型コロナへの水際対策が強化されたことが出国できない主な理由となっている。
大使館は「昨年6月の出国がかなわなかったため、今年2月に延期する形で調整を進めてきた。しかし、直前の1月に日本で非常事態宣言が出され、再度出国を見合わさざるを得なくなった」と経緯を説明している。
3日にオンライン上で日本語予備教育の開講式を迎えたばかりの第13陣候補者の出国は9月を予定。大使館は「それまでに日本側の状況も改善し、第12陣が先に出国できることを願っている」としている。
同事業の関係者によると、防疫措置で授業はいったん休止。その後、対面授業の再開が期待されていたが、候補者には「課題やオンラインツールを使用したフォローアップ研修が続けられていた」という。
EPAに基づく日本への同様の候補者受け入れはインドネシア、ベトナムでも実施されているが、2020年度に6カ月間の日本語予備教育を終えた両国の候補者たちは、出国を終えているという。
公益社団法人「国際厚生事業団」(JICWELS)の2021年度受け入れパンフレットによると、EPA候補生には「特定技能」や「技能実習」と異なり、日本語の履修や施設内研修、看護師・介護福祉士の国家資格取得を目的とした必要な知識・技術修得を条件に、入国・一時的な滞在が認められる「特定活動」という在留資格が与えられる。(岡田薫)