12月物価上昇率5.1%に減速 中銀は金融政策を継続
12月の消費者物価指数は前年同月比5.1%増。18年通年では5.2%に
フィリピン統計局(PSA)は4日、2018年12月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比5・1%だったと発表した。11月の6・0%から0・9ポイント低下、物価上昇の減速が顕著になった。国際的な原油価格の下落や、外国為替市場におけるペソ安が一服したことが影響したとみられ、比中央銀行は、物価抑制のための適切な金融政策を継続するとの声明を発表した。
ただ18年通年でのCPI上昇率は5・2%となり、17年通年からは2・3ポイント増加。統計局によると、12年を基準としたCPI算出法が適用できる13年以降では最も高いインフレ率となった。シンクタンクのイボン財団は「経済成長は停滞しているのに、インフレ率は10年間で最も上がっている」として政府の経済、財政政策を批判した。
中銀は4日、声明を発表し「減速の要因はコメ輸入の自由化、原油価格低下と中銀の金融政策だ」と指摘した。中銀は昨年、インフレ圧力を抑制するため5回にわたり政策金利を引き上げているが、物価上昇が一服したことで、市場は再利上げの観測は後退したと受け止めている。
中銀はさらに「19〜20年のインフレ率は政府目標(2〜4%)に収まるだろう」と述べ、物価抑制に自信を示した。
主要品目の上昇率は、食品・飲料が6・7%で、前月比1・3ポイント低下、通年では6・8%の上昇となった。酒・たばこは前月比0・1ポイント低下し21・7%とわずかな減少にとどまった。ただ通年では20・0%の大幅な上昇となった。
同月のCPIの上昇率は首都圏で4・8%、それ以外の地域の平均は5・3%だったが、イスラム教徒自治区(ARMM)では7・5%と大きく上昇した。(伊藤明日香)