日系企業への「影響甚大」 商工会議所は声明書を提出 優遇廃止の税制改革で
税制改革第2弾関するセミナーが開かれ、日系企業関係者ら約200人が参加して耳を傾けた
政府が来年1月からの施行を目指している税制改革第2弾に関するセミナーが28日、首都圏マカティ市で開かれ、日系企業関係者ら約200人が参加した。
セミナーを主催したフィリピン日本人商工会議所は同日午前、セブ、ダバオを含む会員企業約200社のアンケートに基づくポジションペーパー(声明書)を財務省に提出、日系企業のみならず国内の産業や雇用にも影響が非常に大きいとして、税制優遇措置の現状維持と移行期間を10年間設けることを強く求めた。
講師役を務めた会計事務所SGVの柘植陽子ディレクターは税制改革第2弾について、東南アジア諸国連合(ASEAN)で最高となる法人所得税30%を段階的に引き下げる一方で「税制優遇措置の合理化による税収増が狙い」と比政府の目的を説明。下院では雇用創出の意味を込めて「トラバーホ(仕事)法案」との別名で可決したが、上院では委員会審議が進んでおらず「年内の成立可能性は低い」と述べた。
上下両院案では移行期間を最大5年間までと限定。新規登録企業に与えられる法人税免除(ITH)は最長3年間までに制限され、優遇税制もITHと合わせて計5年間までに限られる。
これまで経済区庁(PEZA)内の企業などが免除されていた固定資産税や地方事業税も課税される。
出席者からは固定資産税について「税率はどのくらいになるのか」「土地の評価額は誰が決めるのか」などの質問が相次いだ。
柘植氏は比人の弁護士に確認しながら「自治体により異なるが最高でも3%と定められている。評価額はすでに事業開始時に申告しているはずでそれを元に課税される」と説明した。
セミナー後にあいさつした商工会議所の藤井伸夫副会頭は「これまで15年間ほど似たような動きがあったが、昨年の税制改革第1弾の時のような大統領の強硬姿勢に危機感を高めている」としながら、上院の会期は2週間ほどしか残っておらず、柘植氏と同様に「早期の成立は難しいだろう」との認識を示した。
セミナーでは比政府が導入を目指している租税特赦(タックス・アムネスティ)についても説明され、納税額において当局と係争などを抱える企業が、総資産の2%を支払うなどすれば係争は自動的に終了となり、刑事告訴などから免除される新制度についても紹介された。(森永亨)