クラークを最先端都市へ 未来へ向け日系企業が提案
クラーク地区の開発に向け、日本企業が都市づくりを提案するセミナー開かれた
ルソン地方タルラック州クラーク地区の再開発に向け、日本企業が都市づくりを提案するセミナー「ニュークラークシティ・ウィズ・ジャパン」(日本貿易振興機構など共催)が21日、首都圏パサイ市で開かれ、日系企業関係者や経済関係閣僚ら200人以上が参加した。
ドミンゲス財務長官は開会の挨拶でクラークを「未来を見越した産業と技術を駆動力とし、整った都市にする」と述べ、日本企業の先端技術による支援に期待感をにじませた。
来比のため同日初めてクラーク国際空港に降り立ったという和泉洋人首相補佐官は、急速に経済成長するフィリピンが日本もかつて経験した「住宅不足、貧弱なインフラ、大気汚染などの都市問題に直面している」と指摘。徒歩で公共交通機関にアクセスできる日本の大都市をモデルに、環境に配慮し災害に強い「次世代のスマートシティー建設」を支援していくと表明した。
日本電気(NEC)の石黒憲彦副社長は、情報技術を利用して公共の安全と政府のデジタル化を進める「セイファー・シティーズ」(より安全な都市)という考えを提案。アルゼンチンの都市ティグレで顔認証技術などを利用した監視システムの導入で車の窃盗が8割減り、観光収入が3倍となった例や、インドネシアで今年開催されたアジア競技大会で競技時間の管理などを総合的に行うICTシステムを提供したことを紹介。来年、東南アジア競技大会を開催するクラーク地区での利用を提案した。
東京ガスの細谷功海外事業推進部長は、環境負荷が少なくエネルギーの効率性や安全性に配慮した「3Es」という概念を提案。天然ガスを利用し、発電時の廃熱を利用した発電システム(コージェネレーションシステム)や、災害時対応を備えたパイプラインの遠隔操作システムなどを紹介した。
ニュークラークシティーはクラーク米空軍基地跡の9450ヘクタールを利用した新都市整備計画で、首都機能の一部移転を目指している。22年までを整備の第1期として、将来的には大学や先端産業などを誘致、120万人が住む都市として整備する予定。(森永亨)