中絶事情
[ 1059字|社会 (society) ] 有料違法な堕胎の横行で女性の健康被害深刻。死亡例も多数
年間八万人の女性が違法な中絶手術が原因で入院するなど、望まない妊娠をめぐる深刻な健康被害が発生しているフィリピン。現在、中絶を合法化する法案が上下両院で審議されているが、避妊さえも「反社会的行為」として異議を唱えるカトリック教会の壁は厚い。法案成立の見通しが立たない中、危険な堕胎に身をさらす女性が後を絶たないのが現状だ。 マニラ市のキアポ地区。水商売の女性らが堕胎手術を求めて、夜な夜な出没するとの噂を聞いた。午後八時すぎ、軽量高架鉄道(LRT)カリエド駅で下車すると、一帯には薬草売りの屋台が軒を連ねていた。約五十軒ある屋台の看板商品は「パンパレグラ」。国産ハーブの一種、マカブーハイを抽出した液体で、妊娠初期に服用すると三割の確率で流産するという。