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11月27日のまにら新聞から

不完全な正義実現 マギンダナオ虐殺11年

[ 789字|2020.11.27|社会|新聞論調 ]

 今月23日はマギンダナオ虐殺の11年周年だった。去年12月に黒幕と実行犯に有罪判決が出たが、不完全な正義実現であることを忘れてはならない。世界最悪のジャーナリスト殺害事件が決着したとのドゥテルテ政権のユネスコへの主張は早計だった。ユネスコは適切にもその見方を受け入れなかった。そもそも判決は確定ではなく控訴中だ。確定にはあと最低3年を要する。被告人の中には金持ちがいて、有罪判決が覆る可能性すら否定できない。

 ケソン市地方裁判所ジョセリン・レイエス裁判官は良い仕事をした。主犯のアンパトゥアン兄弟を殺人57件で有罪とし、仮釈放のない無期刑を言い渡した。警官を含む28人の共犯者にも罪状に応じて刑を言い渡した。しかし主犯格を含む55人が放免され、被告人で逃亡中の者もいる。レイナルド・モマイさんは殺されたと家族が主張しているが証拠がないとして被害者にすら含まれていない。

 国際人権NGOであるヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は報告書で、こうした虐殺事件が繰り返される理由を説明している。「アンパトゥアン一族の私兵は比で最も悪質だったと言えるが、100余りある私兵グループの1つにすぎない。とくに地方の治安の悪い地域に多い。政府の直接支援の程度は異なるが支援が続く限り、武装勢力の存在とそれが関与する残虐事件は続くだろう。この事件は殺害人数の多さで特異だが、政府、軍、警察が長く容認し、力づけさえした私兵の残虐さは今もはびこっている。この事件は起こるべくして起こったのだ」

 判決が出たとき私はメディアに述べた。「この虐殺は国家容認、国家暴力の極端なものだ。10年かかろうが正義は下る。これは人道に対する犯罪である。違法薬物での超法規的殺人も同様だ。その責任を負う者は決して正義の実現から逃れられないことを知るべきだ」と。(24日、スタンダード、トニー・ラビニャ)

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