徹底調査が必要だ フィルヘルス汚職疑惑
国民皆保険(ユニバーサルヘルスケア)法を実施するために2221億ペソを超える資金を委託されているフィリピン健康保険公社(フィルヘルス)の腐敗がますます悪化している。公社では、人工透析の架空請求などで1540億ペソが失われたことが明らかになり、前任のフェレール総裁が辞任したが、なおやまない腐敗のすさまじさに、汚職防止法務官は嫌悪感から辞任した。
先週、公社で働いていた弁護士のトールソン・ケイス氏はモラレス総裁について「シンジケートの新しいリーダーになったのではないか」とさえ言った。総裁はドゥテルテ大統領が任命した元国軍の准将である。
5月に上院の野党院内総務のドリロン議員は、公社が購入している新型コロナ検査キットが8150ペソと高額であることを問題にした。すると、2週間後、検査キットの値段は3409ペソになった。さらに、政府の監査人は、公社の21億ペソのITシステム計画に当初予算案に含まれていなかった7億3400万ペソが含まれており、情報通信技術省によって承認されていたと指摘。また、公社が4月15日に、新型コロナ患者が一人もいない北サマールの私立病院に960万ペソの助成金を交付したことも告発した。ほかにも、公社とドゥケ保健相の親戚が所有する製薬会社との契約など、保健相への利益誘導疑惑もある。
モラレス総裁自身は裏庭の様子を精査することに興味がないように見える。独立機関による問題の徹底的な調査が不可欠だ。(7月31日・インクワイアラー)