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3月29日のまにら新聞から

感染連鎖断つ苦い薬 新型コロナ

[ 635字|2020.3.29|社会|新聞論調 ]

 かつてのフェルディナンド・マルコス大統領は戒厳令を敷いて、人々を外の世界から引き離すために「家にとどまれ」と命じた。それでも十代の若者はディスコで夜通し踊るなど、機会を見つけてナイトライフを謳歌したものだ。

 当時の独裁政権下の外出禁止は深夜から午前5時までで、路上では警察が目を光らせ、見とがめられれば容赦なく逮捕された。そうした記憶が、新型コロナウイルス封じ込めの「ルソン島封鎖」政策で再び蘇った。

 今回は、政府転覆を目指す特定のグループによる脅威ではなく、目に見えないが、多くの命を脅かし、人類を危機に陥らせ得るものだ。この「敵」には国境や社会的な隔てがなく、ましてや政治信条や文化的価値の持ち合わせもない。

 今回の封鎖によって「在宅ワーク」「自宅滞在」「オンラインコンサート」「E―ヌマン(テレビ電話での飲み会)」などといった流行が生まれている。個人の権利を侵害している、との批判の声はあるが、ウイルスの世界的流行とわれわれがどう向かい合うかが問われている。

 米国では同時多発テロの直後に厳格な安全確認体制を敷き、人々も多少の自由を犠牲にすることを許容した。微妙なバランスをとるためには、大多数にとって必要なことを優先させなければならない。

 かつてない規模のウイルス感染の連鎖をほぼ断った中国が厳格な手段の有効性を証明している。この連鎖を断ち切るには、われわれも苦い薬を飲む必要があるということだ。(26日・トリビューン、マニー・アンヘレス)

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