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11月8日のまにら新聞から

墓地を聖なる森に 土地確保問題への解決策

[ 796字|2019.11.8|社会 (society)|新聞論調 ]

 毎年11月1日の万聖節には、われわれは亡くなった先祖や家族を敬い墓地へと向かう。一方、国土の一部は日々墓地へとその姿を変えている。今生きている1億人を超えるフィリピン人も、地球上の他の76億人も、火葬される少数の人々を除いては、いつかは埋葬される土地が必要になる。皮肉なことに、生存中に住む土地を手に入れられなかった者も、あの世では亡骸(なきがら)のために土地が用意される。

 しかし、一度墓地になると、その土地は耕作や居住、商業の土地としては使えなくなってしまう。世代が入れ替わるにつれ、墓地用の土地は拡大するばかりだが、土地自体は有限だ。

 ある夜、妻とおしゃべりしている時に、墓地の各区画に苗木を植えるという案を思いついた。亡骸は木の養分となり、その木は愛する人の生きた記念となるのだ。残された家族はその木の世話をする。もしこうした文化が育くまれれば、墓地は寂しく荒れた土地ではなくなり、聖なる森になるだろう。さらに街に緑を与え、ピクニックや運動ができる公園になる。

 妻はこのアイデアに心が躍ったようだ。そこで、こうした取組みが他国でなされているか調べてみたところ、2つの民間企業が見つかった。一つはメモリー・フォレストという米国の企業で、「墓碑を樹木へ、そして墓地を森へ」と謳(うた)い、火葬後の遺灰を埋めて木を植えるサービスを提供している。

 また、イタリアのカプスラ・ムンディ社は、卵型をした生分解性プラスチックの棺(ひつぎ)に遺灰を納め、「種」として大地に埋めるという(火葬せずに埋葬するやり方はまだ構想段階)。本人が生前に選んだ種類の木を植えることができるそうだ。

 死者を表し、かつ死者によって養分を得る木々を切ろうという者はいまい。もしこの取組みが実現すれば、地球が聖なる森で覆われることになるだろう。(4日・インクワイアラー、ジョエル・ルイス・ブトゥヤン)

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