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8月11日のまにら新聞から

経済と安全保障のバランスを 中国企業の3島開発

[ 641字|2019.8.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 中国企業がルソン島北部沖のフガ島とサンバレス州スービック沖のグランデ、チキータ両島への投資を計画していることに対して、専門家から安全保障上の懸念が表明されている。

 政府は中国企業が観光開発を目的とする限り、島に投資する権利を持つとしているが、これまで発布されてきた大統領令では、外国人が一つの島をすべて所有することは禁じられている。

 ただ、この問題の本質は過去の大統領令にまつわる問題ではない。3つの島がいずれも国家の安全保障上、戦略的に重要な場所にあるからだ。

 フガ島はバタネス諸島に近く、比でも最も北にある島の一つだ。台湾にも近い。第2次大戦時には通信基地が置かれている。

中国はあたかもフガ島をフィリピンから切り離そうとしているようにさえ見える。なにしろアモイに本拠を置く中国企業がフガ島に20億ドルを投資してIT関連産業のための「スマートシティー」を建設しようとしているのだから。

 グランデ、チキータ両島では2億9800万ドルを中国企業が投資し、80棟ものビルを建てようとしている。

 この3島をめぐる契約は、ドゥテルテ大統領が4月に北京で開かれた「一帯一路」経済圏構想の国際会議に出席した際に署名された。

 中国企業による開発は軍事目的とは無縁なのかもしれないが、ロレンサナ国防長官は安全保障の見地から政府に警告をした。海軍も「経済的利益と安全保障のバランスを考えるべきだ」と言っている。ドゥテルテ政権が留意すべき言葉だろう。(8日、スター)

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