積水ハウスが約55億円の被害を受けた「地面師」事件で、警視庁から国際手配され、首都圏パサイ市で拘束されたカミンスカス(旧姓小山)操容疑者(59)が11日午後、日本に送還される見通しとなった。入国管理局関係者らが明らかにした。
入管によると、カミンスカス容疑者に対する比側の取り調べは10日までに終わり、同日、国外退去命令が出された。手続きが済み次第、日本側に身柄が引き渡される。
9日には日本から捜査関係者が比に入っており、同容疑者と11日の送還便に同乗、航空機が日本領空に入り次第、機内で逮捕する見通し。
カミンスカス容疑者は、事件のリーダー格とされ、警視庁が偽造有印私文書行使容疑などで国際手配していた。同容疑者は昨年12月19日、日本大使館に出頭した際、比入管職員に拘束され、タギッグ市の入管収容施設に収容されている。
入管によると、同容疑者は「一方的に罪をかぶせられたくない」と、早期の帰国を希望して大使館に出向いたと話しているという。
同容疑者は日本で逮捕状が出る直前の10月、比に入国して以来、約2カ月、行方が分からなくなっていた。
入管関係者によると、この間、ルソン地方パンパンガ州アンヘレス市などのホテルなどで暮らしていた。比入国の際は現金で少なくとも500ユーロ札100枚(約640万円)を持ち込んだが、拘束時の所持金は日本円換算で360万円ほどだったという。
同事件をめぐっては、16人が詐欺などの容疑で逮捕されている。(森永亨)