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5月6日のまにら新聞から

朝鮮半島に平和が訪れる時 フィリピンの視点

[ 639字|2018.5.6|社会 (society)|新聞論調 ]

 平和を愛する全ての人にとって、南北首脳会談は歴史的な出来事だった。北朝鮮の金正恩委員長は、韓国の文在寅大統領と話し合うために軍事境界線を越え板門店に向かった。そして2人はその日、朝鮮戦争の年内終結、朝鮮半島の完全非核化に署名した。

 このような日が来ると誰が想像しただろうか。北朝鮮のミサイル発射実験を中心に、同国をめぐる安全保障問題は、世界中で実施される国際会議の話題の中心だった。世界各国がこの報道にほっと安堵のため息をついたが、フィリピンも確実にそれらの国の一つであっただろう。地理的にも比も北朝鮮からは遠くなく、戦争勃発時の危険性は高かったからだ。

 朝鮮戦争に関しては、国連軍の一員として比軍は参戦しており、その当時を知る者からすると終戦はとても喜ばしい。比からは兵士7420人が従軍し、うち112人が命を落としている。元大統領のラモス氏も従軍しており、同氏は終戦宣言に喜んでいるだろう。

 一方、ドゥテルテ大統領は金正恩氏と微妙な距離を保っている。昨年、同氏が議長を務め手腕を見せた東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会談では金氏を「大ばか者」「ろくでなし」と痛烈批判。主要国を含む各国に北朝鮮に対する圧力を呼び掛けた。

 今後の平和の行方は慎重に行っていきたいところだが、現時点では世界各国は北朝鮮の平和への歩み寄りを楽天的に歓迎している。条件交渉と関係構築はこれからだ。口の悪い比の大統領はどのように出るのか。注目が集まる。

(4月30日・スター)

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