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1月19日のまにら新聞から

税制改革法案の成立なるか 議会がCREATE審議再開

[ 887字|2021.1.19|経済 (economy) ]

経済特別区の所得税免除を最大10年に制限するなどのクリエイト法案審議再開

 フィリピンの議会が18日から再開された。最大の注目法案の一つは法人税率の引き下げや税優遇措置の合理化を盛り込んだ税制改革法案第2弾の「CREATE法案」だ。上下両院でいずれも昨年11月までに通過したものの、両院協議会での審議をめぐり調整が続いていた。フィリピン日本人商工会議所を含む外国人商工会議所などが反対する一方で、貿易産業省を含めた政府機関や比の財界団体、半導体・電子部品産業界、BPO業界などが賛同するなど同法案の賛否をめぐる議論も真っ二つに分かれている。

 下院の与党院内総務を務めるロムアルデス議員は17日、両院協議会においてCREATE法案と資金洗浄防止法改正案の2法案の成立に「全力を尽くす」と改めて表明した。同議員は特にCREATE法案について、「コロナ禍からの回復を目指す中小零細企業を支援する最大の経済刺激策になる」とその意義を強調している。

 18日付英字紙マニラブレティン電子版によると、比商工会議所(PCCI)のユフイコ会頭も声明を出し、「過去数十年で最大の歴史的な経済改革」と評価した上で、「同法は市場の信頼を高め、パンデミックで苦しむ企業に迅速な救済を提供する」として支持を改めて表明した。同法案では正味課税所得が500万ペソを超えない中小企業の法人税を現在の30%から20%に、その他の企業については30%から25%に2020年7月にさかのぼり即座に引き下げる条項が含まれている。同法案が成立して法人税が引き下げられると、東南アジア諸国連合(ASEAN)平均の21・65%に近づくため、比商工会議所は「外国直接投資を誘致するための勢いを提供する」とも強調している。

 比の経済団体だけでなく、外国企業を含む電子部品産業界やBPO業界の団体も最近、賛同を表明している。しかし、欧州商工会議所のフランシス・ナビル会頭は先月12月に開催されたオンライン・フォーラムで「投資家の不安感をかき立て、比国内への外国直接投資流入に悪影響を与えている。政府が規則や規制を変え続ければ、外国人投資家の投資意欲をそぐだろう」と警告している。(澤田公伸)

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