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6月18日のまにら新聞から

危険な米国追従

[ 709字|2012.6.18|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領訪米

 アキノ大統領は、アジア太平洋地域における米軍事力再編に積極的に協力する用意があるようだ。それは、結果的にこの地域における米国の経済力強化をもたらす。

 米国のアジア重視は論理にかなう。アジアは世界で最も経済がダイナミックに動いている地域であり、特に東アジアは世界経済が減速するなかで成長を続けているからだ。中国が今の経済成長のペースを維持すれば、いずれ唯一の超大国である米国の地位を脅かすようになる。だから、米国はこの地域での存在感を拡大しておく必要があるのだ。

 米政府はアキノ大統領を代理人として使い、中国を監視させ、アジアにおける影響力強化の踏み台としてフィリピンを利用しようとしている。しかし、アキノ大統領が米国のアジアにおける利益拡大に協力すれば、中国を刺激する。その意味では、危険な火遊びである。

 外務省によると、先の比米首脳会談は4時間に及んだ。両首脳はこの会談で、中国を封じ込めるため、アジア太平洋地域への米軍展開を増強することで意見が一致した。これは比が米中対決の最前線に立つことを意味する。

 西フィリピン海(南シナ海)のスカーボロ礁では、比中両国艦船のにらみ合いが今も続いている。比海軍の艦船によって突然、中国の漁船が臨検された場所では、以前は比中両国の漁民たちが仲良く一緒に操業していたのだ。中国の反発が想定されたにもかかわらず、スカーボロ礁に海軍艦船を派遣した背景には、比側に米国から新たに艦船を獲得したいという意図があったのではなかろうか。

 アキノ大統領は、米国訪問で多くの支援の約束を取り付けた。しかし、その代償は比にとって、高く付くかもしれない。(11日・トリビューン)

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