ハロハロ
年末恒例の「NHK紅白歌合戦」の視聴率(関東地区)が初めて四〇%を割った。過去最低の記録だという。職員の相次ぐ不祥事件が大きく影響したと各紙が書き立てた。韓流ブームに乗って韓国スターを特別出演させたり、「マツケンサンバⅡ」のけんらんショーも報われなかった。多メディア時代を迎え視聴者のニーズが大きく変わってきたと指摘する人もいる。
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札幌支社勤務時代の七四年、森進一が「紅白」で初めて大トリを務め、独特のしゃがれ声で「襟裳岬」を歌った。ところがこの後、歌詞をめぐって地元からクレームがついた。「襟裳岬は何もない春です」とは何事かというわけだ。町議会でも取り上げられる騒ぎになった。今は島倉千代子の「襟裳岬」と並んで太平洋を見渡す岬に歌碑が建ち観光名所になっている。
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多メディアが進む中で、「紅白」のような「お化け番組」はもう出てこないだろう。放送権料が一試合一億円といわれるプロ野球の巨人戦にも陰りが出ている。今年、新規参入する楽天とソフトバンクは新たにインターネットで全試合の完全生中継に挑戦するという。二百波超のチャンネルが飛び交う中で、業界の顧客囲い込み合戦が一層激しくなりそうだ。 (富)