脱炭素、エネ安保の実現を 初のAZEC首脳会議
日豪とASEANはアジア・ゼロエミッション共同体の第1回首脳会議を開催。成長とエネルギー安保の同時実現目指す
日本、豪州、およびフィリピンなどミャンマーを除く東南アジア諸国連合(ASEAN)9カ国は18日、東京で岸田文雄首相が提唱したアジア・ゼロエミッション共同体の第1回首脳会議を開催し、成果文書として共同声明を採択した。声明は、イノベーションを通じ、脱炭素・経済成長、エネルギー安全保障の同時実現を目指すことを宣言。さらに、「ASEAN地域は世界経済とエネルギー需要拡大のエンジンであり続ける」との見込みを示した上で、風水力だけでなく、比が導入を進める小型モジュール炉原発や、合成メタン、電気分解技術、バイオマスなど多様な技術の活用がうたわれた。
また、産業構造、社会的背景、地理的条件、発展段階などの各国の状況・出発点の違いに応じ、カーボンニュートラル/ネットゼロには「多様かつ現実的な道筋があること」と、「その道筋を設計・実施するために多様なエネルギー源と技術の活用が重要である」との理解の共有が確認された。
また、化石燃料の中で温暖効果ガス排出が最も少ない天然ガス・液化天然ガス(LNG)についても「トランジション燃料としての役割の重要性に留意する」との文言が盛り込まれた。
さらに、日本が脱酸素技術の普及や対策実施を通じ、削減・吸収した温暖効果ガス排出量をクレジットとして日本側に算入する「2国間クレジット制度」(JCM)を含む、炭素市場・クレジット制度の推進も「重要性を認識する」と明記された。フィリピンは2017年にJCMに署名している。
マルコス大統領は、AZEC参加国に対し、再生可能エネルギー、新技術、エネルギー効率化・貯蔵技術に関する投資を比で行うよう呼び掛けた。大統領は17日に、日本を「東南アジアの経済発展だけでなく、気候変動対策や新技術導入で主要な役割を果たしている」とし、気候変動対策、エネルギー安全保障、食料安全保障を包括した2025年以降の10カ年ロードマップの策定を提言している。(竹下友章)