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9月3日のまにら新聞から

罪は消えない マルコス資産返還

[ 735字|2017.9.3|社会 (society)|新聞論調 ]

 もしマルコス家が、故マルコス元大統領の20年間にわたる独裁下で不当に集めた財産を返還するつもりなら、すでにそうしていたはずだ。

 元大統領の妻、イメルダ夫人が手放そうとしない、値がつけられないほど貴重な絵画も、国に返還すべきだ。上院出身の大統領と、ガレージ暮らしの過去をもつ夫人が、どのようにしてミケランジェロやゴッホ、モネなどの名画を所有するに至ったのかとの指摘も煙に巻けるかもしれない。

 マルコス家の資産には、ピカソやゴーギャン、モネの作品も含まれているという。しかし2003年に政府は、その資産額をたったの30万4千ドルと算出した。

 我々国民が望んでいるのは、マルコス家が30万4千ドルやいくらかの金塊を差し出す代わりに、彼らが残りの莫大な資産を所有し続けることではない。それではまるで、橋を2カ所建設する援助を行う代わりに、中国政府に南シナ海の海域や島の所有を認めるようなものである。

 ドゥテルテ大統領はこのほど、マルコス家が全てをつまびらかにし、富を返還することに同意したと発表した。つまりマルコス家は富が不正に蓄積されたものだと認めたわけだが、その一方で、マルコス家は何か見返りを得ているのではないかとの疑問から目をそらすことはできない。

 現在、マルコス家の資産は、スイスに所有する口座も合わせて100億ドルに上るという。発生した6千万ドル以上の利子は、不当に得た財産としてスイス当局から比政府に引き渡されたという。しかし当の口座所有者が罰せられないのはおかしな話である。

 多少の金塊を国にプレゼントすることで、目をむくような不正蓄財を犯した罪から逃れられるのなら、マルコス元大統領も英雄墓地で笑っていることだろう。(31日・スター)

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