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4月18日のまにら新聞から

公平な比文化論を

[ 659字|2005.4.18|社会 (society)|新聞論調 ]

記者殺害の多発

 ある米国人作家はフィリピンの文化を「傷ついた文化」と形容し、またあるものは「暴力の文化」と評した。先日来比した「国境なき記者団」(RSF)の調査員、ジャン・フランソワ・ジュリアード氏は我々の社会の体質を「罰せられない文化」と特徴づけた。

 RSF調査団のビンセント・ブロセル氏は「比で多発するマスコミ関係者殺害事件では首謀者が逮捕されたことは一度もない」と述べた。

また、ジュリアード氏は「(比国家警察は)事件の実行犯を逮捕するまではできるが、捜査はそこで止まってしまう」と付け加えた。

 「罰せられない文化」はわれわれにとっては日常的なことだ。よく言われることだが、十ペソを盗むものは罰せられるが、数百万ペソ単位となると法律が見方する。

 RSF調査団の発言は、作家アナトール・フランスの「法律とは、富者、貧者を問わず万人に対して、橋の下に寝ること、物乞いすること、パンを盗むことを禁止するものだ」との表現を思い起こさせる。殺人となると、古代ローマの政治家、キケロの「武器が語る時、法は黙する」との言葉が想起される。

 「傷ついた文化」「暴力の文化」「罰せられない文化」という三つの文化は比だけを特色づけるものではなく、人間の歴史そのものではないだろうか。

 映画監督のマイケル・ムーアは「暴力の文化」を米国に発見した。最も進んだ社会の中での「罰せられない文化」について書かれた本も多数存在する。

 われわれの社会だけが「三つの文化」の宝庫とされるのは不公平だ。(15日・ブリティン、エイドリアン・クリストバル氏)

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