「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
33度-23度
両替レート
1万円=P3,800
$100=P5880

8月13日のまにら新聞から

ミスター・クリーン?

[ 708字|2001.8.13|社会 (society)|新聞論調 ]

前警察長官の不正蓄財疑惑

 「ミスター・クリーン」││これは前国家警察長官のラクソン現上院議員が今年五月の上院選に立候補、出馬した際の宣伝文句だ。ラクソン陣営は選挙の際、同氏は警察長官時代に多くの誘拐事件を解決、弱者を救済し、汚点はないと宣伝した。 

 彼が議席を獲得できた一因はこの宣伝戦略が成功したためであろう。もう一つは国の隅々までキャンペーン活動を展開させた彼の選挙資金だった。

 しかし、国軍情報部のコルプス大佐の主張が事実なら、彼は決して「ミスター・クリーン」などではない。同大佐によると、ラクソン議員は警察長官時代に殺人や誘拐、麻薬取引など様々な違法行為を行い、これらで得た財産の資金洗浄(マネーロンダリング)を米国で行っていたとしている。

 米関税局の支援を受け、コルプス大佐は国家警察と合同で今年六月、米国で約一カ月の調査を行った。調査団によると、同議員はエストラダ前大統領、アリス夫人との共同口座を合わせると米国、香港、カナダの銀行に計十八口座を保有。総額は七億ドルに上るという。米政府は既にこれらの口座の一部を「非公式に確認」していたとされている。

 また調査団はラクソン夫妻が所有する会社二つと、幾つかの豪邸も発見した。これらの資産もこれまで公開されていなかった。調査チームは「公務員がこれほどの巨額の資産を合法的に蓄財することは不可能」としている。

 しかし、報告通りにラクソン議員を有罪と決めつけるのは性急だ。ほかの国民と同様、彼も有罪を宣告されるまでは推定無罪の扱いをされなければならない。我々はこの疑惑に対し公平で綿密な調査を望む。疑惑がまとわりついたままの議員に、由緒正しい上院議事堂の席を与えてはならない。

社会 (society)