アブサヤフ復活
軍事的解決が必要
イスラム過激派アブサヤフが力を失ったと報道されるたびに、アブサヤフは流血の惨事を起こし、復活を果たす。
ミンダナオ地方スルー州のジャングルで26日未明、海兵隊の小隊が国際テロ組織アルカイダとつながりがあるとみられる武装集団と交戦し、隊員7人が死亡した。海兵隊は、アブサヤフの幹部、ラドゥラン・サヒロン、イシロン・ハピロン両容疑者の間近にまで迫ったとも報じられた。
さらに29日の報道によると、殺害された一部海兵隊員の遺体は、頭部を切断されていた。
頭部の切断は、2007年7月に同地方バシラン州で起きた襲撃事件を思い起こさせる。拉致されたイタリア人神父の捜索活動を行っていた海兵隊員が、アブサヤフとみられる武装集団と交戦し頭部を切断された事件である。
当時、サヒロン、ハピロン両容疑者には、米国から懸賞金600万ドルが懸かっていた。アブサヤフは、スルー州パティクル町にある山岳地帯の間に、要塞(ようさい)を築いていた。
アブサヤフは過去20年間、スルー、バシラン両州などで住民にテロの恐怖を植え付けてきた。米軍と掃討作戦を行った国軍は、構成員のほとんどを殺害した。この勝利により、武装集団に対する住民の支持を失わせ、地域に発展をもたらしたはずだった。そのために、地元自治体が、さまざまな支援活動を行った。
しかし、武装集団はバシラン州で復活した。今回、スルー州でも流血の惨事が起きた。政府と国軍は両州の武装集団の非武装化に向けた行動を、さらに断固として実施しなければならない。そうすれば国軍がサヒロン、ハピロン両容疑者を捕えられることは可能だ。しかし、こうした軍事的解決遂行のためには、非軍事部門の支援が求められることも念頭におく必要がある。(30日・スター)