台風ヨランダ(30号)
レイテ州タナワン町で高潮になぎ倒された巨木使った「感謝のツリー」飾られる
台風ヨランダ(30号)による被害で、2千人を超える死者・不明者が出たビサヤ地方レイテ州タナワン町。町役場に近いブンタイ・バランガイ(最小行政区)では、クリスマスを間近に控え、高潮に根こそぎ倒された巨木の根に、支援への感謝を書いた「ツリー」が飾られている。
民家の2階部分まで達した高潮は、高さ10メートル以上あるアカシアの巨木も根こそぎ倒した。バランガイ議長の妹、ロルデス・デレオンさん(60)によると、樹齢は100年を超えるという。
デレオンさんら一家は、むき出しになった大きな根に、バランガイに支援物資を届けるなどした団体や外国政府、企業の名前を書いた板を飾った。一番上には「みなさん、ありがとう。神のご加護を」のボード。中央には「屋根なし家なし、でも私たちには希望がある」と書いた板を掛けた。
クリスマス用の飾りや、子供たちの格好のおもちゃになっているという泥にまみれたコンピューター、ビデオカメラも飾ってある。
通りの向こうには、デレオンさん一家が15年間使い込んだ本物のクリスマスツリーも。「近隣のタクロバン市には大きな素晴らしいツリーがあるけど、ここにはない。でも二つの『ツリー』で感謝の表明と住民の楽しみになれば」とデレオンさん。27日にはレチョン(豚の丸焼き)を振る舞って、住民のためにパーティーを開く予定という。(大矢南)