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1月4日のまにら新聞から

農業の立て直しが鍵 経済成長を見据えて

[ 797字|2019.1.4|社会 (society)|新聞論調 ]

 新年の経済見通しをさまざまなエコノミストらが発表する時期だ。楽観的であれ警戒的であれ、世界経済にリスクがあることは一目瞭然。米中貿易摩擦や原油価格の不安定、英国の欧州連合脱退の影響などが小国にのしかかるのは当然だ。しかし、外的要因はどうであれ比はインフラ事業促進のおかげで今年も6%以上の経済成長が見込まれている。しかし、この経済成長に影響を与えうる国内問題に対して政府は対策を取る必要がある。

 それは農業だ。経済閣僚も経済成長を持続させるために農業部門を引き上げる必要があることを認識している。18年1〜9月期の農業生産は0・15%増にとどまった。前年同期の4・59%から大きく縮小、政府目標の2・5%達成も難しい。台風などの悪天候が要因だと非難するのはたやすい。ピニョール農務長官もルソン地方北部を襲った台風オンポンにより農業生産で267億ペソの被害が出たと嘆いていた。また、水産業部門でも天候不順のため、生産が振るわなかった。天候不順のため、水産部門は過去5年連続で水揚げが落ちている。

 しかし、政府はいつまでも悪天候を理由に挙げることはできない。台風が毎年20個近く到来することはわかっている。なぜ台風の影響を受けやすい時期に合わせ田植えを行っているのか。ビリヤール上院議員も比農業の問題点を悪天候に加え、機械化の遅れ、新技術への抵抗、農家の高齢化、一貫した農業政策を取れない政治と指摘している。

 農務省も手をこまねいているだけではない。水産部門では養殖事業への転換を進める政策に着手。また、コメ輸入自由化法の成立により、コメ価格が下落してインフレが落ち着くと同時に、得られる関税収入も農業技術の近代化や換金作物への転作に対する助成金として使う予定だ。今や国を挙げて農業を立て直す時期だ。農業が鎖の弱点であり続ければ、比の経済成長はもう語れない。(2日・インクワイアラー)

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