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12月23日のまにら新聞から

ドゥテルテ政権の思惑は 戒厳令延長

[ 664字|2018.12.23|社会 (society)|新聞論調 ]

 上下両院の特別合同議会はこのほど、ミンダナオ地方における戒厳令の1年再延長を承認した。

 時に発言内容が矛盾していることで知られるロレンサナ国防長官は、延長の理由を「潜伏しているテロリスト180人を制圧するのに、国軍と国家警察にはもう少し時間が与えられるべきだから」と述べた。また「現在もテロリストがミンダナオ各地で騒動を起こしており、テロの可能性が各所に潜在している」とした。現状は発言通りだろうか。

 戒厳令延長を審議する合同議会でラグマン下院議員は「事実に基づいた根拠がない」と発言、ロレンサナ長官の延長理由に反対意見を述べた。同議員は「そもそも60日限定の戒厳令を布告した時も逸脱していたが、さらに1年延長することは異常であり、今回の再延長はあり得ない」と批判した。「比の優秀な国軍と国家警察」はテロリスト180人の制圧に2年以上の戒厳令が必要なのか。

 過激派との戦闘があったマラウィ市の復興は大幅に遅れている。戒厳令を終わらせるために多くの議員から述べられた意見によると、いまだテントで生活している避難民はテロリストに脅かされており、戒厳令下でも復興が進まなかった。

 さらにミンダナオでは戒厳令を理由にした国軍などによる先住民族への人権侵害も起きており、先日は北ダバオ州に先住民族の子どもを支援に行った元議員ら活動家が逮捕される事態も発生した。

 戒厳令が再び延長された。ミンダナオの人々はまた民主主義の侵害の中を生きなければならない。いつまでこの状態が続くか分からぬまま。(17日・インクワイアラー)

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