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11月9日のまにら新聞から

比の低迷は当然の帰結 世銀ビジネス環境ランキング

[ 787字|2018.11.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 世界銀行が最近発表した2019年度ビジネス環境ランキングで比が190カ国中124位と低迷した問題で、財務省と貿易産業省が連名で抗議声明を出した。両省は特に「クレジット報告システム」における比に関するデータ収集に問題ありとして訂正を求めた。しかし、この不満表明は比の経済・貿易担当省が答えるべきより大きな問題を覆い隠す貧弱な煙幕にすぎない。ドゥテルテ政権になってから毎年、比は同ランクを下げているのだ。

 そもそも世銀はデータ収集において公表されている方法を用いている。政府財政機関の最大部署のデータのみを扱うことになっており、その方法論には疑義を挟む余地があるかもしれないが、比政府が主張するより広い範囲のデータを集めて分析しても、184位というクレジット報告に関する評価はそれほど改善しないだろう。

 世銀の同ランキング報告は毎年5月1日の状況を分析したもので、アキノ政権下の2016年度報告書では比のランクは184カ国中99位だった。それが17年以降、毎年のようにランクが下降。17年度こそ前年と同じ99位だったが、18年度は113位に落ち込んだ。

 また、比政府がやり玉に挙げる信用獲得に関する評価にしても、全部で10ある評価分野の一つにすぎない。比は10の評価分野のうち5分野でランクを下げている。たとえば、「清算手続き」では前回の59位から63位に、また、「資産登録」でも114位から116位に下がった。さらに、「契約の執行」でも149位から151位という具合だ。また「起業のしやすさ」では173位から166位に改善したとはいえまだまだ環境が悪い。

 関税局内でも密輸が横行している現状だ。世銀の調査には欠点もあろうが、比の低いランキングは、比政府の無策ぶりや改善の努力を行わない姿勢からすると当然予想された結果なのだ。(6日・タイムズ、ベン・クリッツ)

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