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6月29日のまにら新聞から

タンバイ一斉逮捕という暴挙 失業率悪化を隠すドゥテルテ政権

[ 782字|2018.6.29|社会|新聞論調 ]

 ドゥテルテ大統領は警察に対し、麻薬常習者の次に、今度は「タンバイ」と呼ばれる新しい標的を狙い撃ちさせた。今週末だけで全国で1万人が一斉逮捕された。ここで明らかなことは、ドゥテルテがその残虐でかつ金持ち優先の政策により国内の経済状況が悪化し、それを隠すために絶望的な一斉逮捕という非道手段に出たということだ。

 この路上でたむろしているだけの市民たちを逮捕することは、公選弁護士団体の代表が言っているように違法の可能性が高いだけでなく、過去数十年間で最悪となっている貧困状況に対する恥ずべきファシズム的反応であるということだ。ドゥテルテ政権になってから雇用状況が明らかに悪化している。イボン財団の調査によると、国家統計庁のデータだけからでも就労人口が2016年から17年にかけて66万3000人も減っている。これは82万1000人の就労人口が減少した1997年以来となる最大の落ち込みだ。失業率は9・2%まで落ち込み、東南アジア諸国連合域内で最も高い。また、週40時間未満しか働けない不完全雇用者の割合も17%まで拡大しており、690万人に相当する。失業率が高いのはイロコス地域やカラバルゾン地域、そして首都圏など。ドゥテルテは直接言っていないが、「逮捕されたくなければ仕事を探せ」ということなのかもしれない。

 都市貧困層や低層中流階級の世帯では居間や庭など家でくつろげる空間はない。ゴルフで余暇を過ごす余裕などもちろんない。都市貧困層支援団体カダマイのアレリャーノ議長の言葉に共感を覚える。「ドゥテルテは貧困層を犯罪者のように印象付けようとしている。なぜそもそもタンバイがいるのか。失業率が高く、家を持たない人口が多いからではないか。自分の土地で人間らしい生活を送るという基本的人権が侵害されているからではないか」と。(23日・ブレティン、トニョ・クルス)

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