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4月2日のまにら新聞から

仕組みの改革を バランガイ選延期

[ 716字|2017.4.2|社会 (society)|新聞論調 ]

 もし政府が主張する通り、バランガイ(最小行政区)役員が違法薬物取引や違法行為に手を染めているという証拠を提示できるのなら、容疑者に対して逮捕、起訴といった正式な訴追がなされなければならない。

 一方、ドゥテルテ大統領の考えは、昨年10月にバランガイ・青年評議会(SK)選を延期して以来、役職にとどまっているバランガイ役員を全て解任し、市民社会や教会が提示した候補者から後任を選出するというものだ。

 大統領は、バランガイ議長の約4割が薬物取引に関与していると指摘し、下院の与党多数派に大統領案の検討を促した。現在のバランガイ役員が、薬物取引で得た資金を選挙戦に利用する恐れがあり、底流で政治腐敗が定着するかもしれないと大統領は恐れる。

 上院の与党議員は党集会で、大統領案を実現するには憲法改正が必要と指摘した。野党議員は、大統領案がドゥテルテ独裁政権の始まりにつながると危惧する。中央選管は7月までの決定を求め、国家警察は、本当にバランガイ議長の4割が取引に関わっているのか事実確認を行っている。

 フィリピンの薬物取り締まりに関する法律は厳格で、薬物密売人やその手先を終身刑にできる。薬物取引で逮捕、起訴されたバランガイ役員は、もはや二度と役員に返り咲くことができない。役員ら全員を交代させることは分かりやすい方法だが、実施は難しい。大統領もそれには気付いているはずだ。

 大統領は、今年の選挙実施に向けた準備を関連省庁に指示するべきだ。もしバランガイの仕組みが腐敗していて悪用されやすいというのなら、大統領は仕組みを改革するよう議会に要請し、あるいは憲法を改正して仕組み自体を廃止するべきだ。(3月29日・スター)

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