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9月11日のまにら新聞から

経験を教訓に 繰り返される暴言

[ 726字|2016.9.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 ラオスの首都ビエンチャンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の際、ドゥテルテ大統領がオバマ米大統領に対して「暴言」を吐いたとして、比米首脳会談が中止に追い込まれた。ドゥテルテ大統領は即座に自身の発言の被害を食い止めようと遺憾を表明した。

 オバマ大統領は、域内におけるプレゼンスを高める意思を再確認するとともに、同盟国との協力関係を継続する考えを示した。ケリー米国務長官は同盟国を尊重するようドゥテルテ大統領に促した。

 一方のドゥテルテ氏側は、首脳会談は両国間の合意に基づいて中止、リセットされただけだと主張した。もし言葉の暴力が与える影響について、今回の騒動がドゥテルテ氏に貴重な教訓をもたらしたのであれば、両国関係への打撃は一時的で済むはずだ。

 域内各国は、国際舞台に現れた新参者の横暴な戯言(ざれごと)だと切り捨てることができる。故にドゥテルテ氏は今、速やかに成長を遂げ、各国指導者たちの後釜に座る準備をせねばならない。

 議長国を引き継いだフィリピンは、ASEAN発足から50年という節目の来年、ホスト国となる。ドゥテルテ氏はその指導者として、襟を正し最善を尽くさなければならない。幼虫が蝶へ成長するように、自身の公約を成し遂げることだ。それには言動が伴う必要がある。

 比国内の辺境からでも、大統領の発言は、特に他国に影響を及ぼす可能性のある場合、瞬時にして世界を駆け巡る。

 変革を公約したドゥテルテ氏。まずは自身がれっきとした政治家に変わらなければならない。もし過去の経験から学習する能力が備わっているのであれば、国際舞台での華々しいデビューが国家の恥としてやり玉に挙げられるべきではない。(8日・スター)

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