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6月6日のまにら新聞から

覆された比人の自然免疫力 コロナ対策と大気汚染

[ 645字|2021.6.6|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナが空気を介して感染するという報道が増えるにつれ、暑くて湿気の多いこの国で大人気の閉め切った空調完備施設を人々はこぞって避けるようになった。フィリピン人は屋外の魅力を再発見したのだ。外で大きく深呼吸すると、南国の暑さも耐えられる気がする。

 魅力的なテントやアクリル板で屋外席を進化させた飲食店もあるが、屋外席が生きる条件は空気がきれいだということ。マニラ首都圏の空気は向いていない。新型コロナが社会に認識させたきれいな空気の重要性は、コロナ禍で得る最も重要な学びの一つだろう。

 ある程度の病原菌にさらされていると免疫ができ、かえって健康的だという説がある。これまで比ではSARS(重症急性呼吸器症候群)や鳥インフルエンザの流行はほぼなかった。比人は「汚染された環境で生活しているから免疫がついている」と冗談を飛ばした。

 しかし、比人の自然免疫力に関するこの説は、マニラ首都圏のように汚染された大都市を含め、世界で何百万人もの命を奪った新型コロナにより覆された。新型コロナの脅威に対し、比政府関係者は形ばかりの感染対策で満足してしまった。

 コロナに限らず様々な病気を避けるため、職場や学校、公共の場などで汚れのないきれいな空気が求められている。不衛生な水による伝染病の大流行を受け、19世紀のヨーロッパでは水の供給システムが見直された。当時と同じくらい深刻に、科学者らは現在、換気システムの徹底を訴えている。(5月26日・スター、編集長 アナマリー・パミントゥアン)

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